宇宙空間における複合的環境が木材へ及ぼす影響を調査するため,1Uサイズの超小型木造人工衛星(LignoSat)の開発を行っています.
木材の主成分は炭素・水素・酸素からなる天然系高分子であり,大気圏再突入時に有害な金属酸化物の粒子を発生させないため,宇宙・成層圏・海洋の汚染防止に繋がる次世代の宇宙開発資源であると期待されます.また,広い温度範囲において物性が非常に安定しているといった特徴や,電磁波を遮蔽しないといった物理的性質から,木材は,宇宙という極限環境下で運用される人工衛星のシステム構築に関する新たな可能性を切り拓く材料であると考えられます.
LignoSatは,人工衛星バスシステムにおける構体系を完全に木造化することを想定した,世界初の衛星開発プロジェクトです.我々の研究チームは,木材を人工衛星の構造体材料として成立させるための様々な技術的課題の解決に日々取り組んでおり,2023年度内の打ち上げ・運用開始を目指しています.